ウナ○ーワ

 ãã†ï½¤ã‚れはおでがまだハタチくらいだった時の出æ\事。うだるような熱帯夜にその事件は起こったのであります。

いつものように仕事から帰ったおではフロに湯を溜めながら寛ぎの一服とシャレ込んでおりました。
というか、実はそれほどもは寛げないんですがね、なんせ部屋が蒸し風呂のように暑いワケです。実際には頭の先から滝のように汗を流しè‚\満児のようにフーフーと息を荒げながら一生懸命一服、むしろそういうカンジです。
いや、åˆ\にエアコンがないワケじゃあないんですがね、それと言うのも当時のおでは苦痛があって初めて至福が存在するのだという哲学を持っておりました。

従って、10時間近い労働で汗とほこりにまみれ、あまつさえチャリンコ通勤で大汗をかいた汚れきった状態で帰宅後すぐにエアコンという甘美な空気に包まれたとしても些か中途半端でキモチワルイ。それならいっそもっともっと限界まで汗にまみれて究æ\µã®æ±šã‚Œã‚’風呂でキレイサッパリ洗い流した状態でその至福の時を迎えようではないか。地獄から生還しようではないか。それが風呂の美学じゃないか。



早い話がどうせベタベタしてるのにエアコンつけたって快適でも何でもないから、風呂にå…\ってる間に部屋を冷やしておいて究æ\µç†±ã„風呂でサッパリしてからヒエヒエ感を満喫しよう、と単にそれだけの事なんですがね。


そんなワケのわからないこだわりの為にストイックなまでに自分を虐めるおで。ま、風呂が溜まるまでの十数分間ですがね。その時、フとある事がおでの脳裏をよぎりました。

「あー、蚊に刺されたトコかいぃー。ウナコーワ塗っとこ。」


これがあんな悲劇を生むとは、この時のおではçŸ\る由もなかったのであります。

そんなこんなでウナコーワを虫刺されに塗ると、何とも言えないクール感がその一部分に集中しましたよ。その時、そのæ—\に限っておでの脳はまたワケのわからない疑問を抱き始めたのであります。

『もしかしてコレ、全身に塗ったら超涼しいんちゃうん?』

一度良からぬ事を企み始めるとどうにもå\½å\‡å¿ƒã«å‹ã¦ãªããªã‚‹ãŠã§ã¯å¾ã«ç´ ã£è£¸ã«ãªã‚Šå…¨èº«ã«ï½³ï¾…コーワを塗ってみたんですよ。アホかと思いますよ。ところが、


「なんだ、全然クールやないやん」


おでの期待は脆くも打ち砕かれてしまったのですよ。そう、その時点ではねï½\ï½\ï½\

しかし、ここまでやってしまってはさすがに諦めがつかず、右往左往した挙å\、風を当てればいいんじゃないだろうか?などという名案を思いついたおではエアコンの電源をå…\れてその前で仁王立ちになってみました。どっから見てもすげぇバカです。


これはさすがに効果覿面でした。マリンブルーを思わせるクールウェーブが全身に押し寄せてきた!そんなカンジでしたよ。ちょっとクサイけど


「おぉ!めっちゃクールやん!」

しかし、それから数分もたたないうちに事態は思わぬ方向へとæ€\変していったのであります。

「痛゛っ!なんか痛っ!!ちょ、クール過ぎ!!」

何と言うか、冷たいとか軽く通り越してなんだか痛くなってきたのですよ。敢えて言えば、冷凍庫から出したての氷を握ったら皮膚が貼り付いてしまい無理にはがそうともがいてるウチに冷たいのに何故か火傷を負ってしまうような、あの痛さです。それが今まさにおでの全身をè\²ã£ã¦ã„るのであります。


「さ、寒いï½\ï½\寒いよぅ。ここは南æ\µã‹ã‚ˆã…ï½\ï½\ï½\」と言ったかどうか定かではありませんが、本人的にはこれはカナリ如何ともし難い状況です。目がマジです。笑えません。

慌てて服を着込んでみたんですが温もるどころか肌に触れる服すら冷たいですよ。余計に寒いような気がしますよ。そうしている間にもグングン体温はå\ªã‚ã‚Œã¦ã„るようです。ピンチです。
そう言えば、ä»\前何かで『人間は体温が35度ä»\下になったら死ぬ』と耳にした事があります。おで、元々平熱が35.5度しかないのに!このペースで熱å\ªã‚ã‚ŒãŸã‚‰ã‚っと言う間に35度切っちゃうよ!ピンチです。

「ヤバイよ!このままじゃ死むよ、死んじゃうよ!」
とオタオタするおでに残された道は、もうひとつしかありませんでした。今のおでを温められるのはもう風呂ä»\外には考えられない、そんな気持ちで風呂場に吸い寄せられていきました。

しかし、熱い風呂å\½ãã®ãŠã§ï½¡ã“の風呂は間違いなく43度はあると思われます。

「結局死むかもしれないï½\ï½\ï½\」そんな思いが目の前をチラつきます。
でも、そんな事言ってても事態は変わらないのであります。もう心臓麻痺覚悟で風呂に飛び込むしかない!そう意を決しました。

その時おでの脳裏を駆け巡ったのはè‹\かりしæ—\の美しひ思い出でも何でもなく、
【OL謎の死!全身ウナコーワで心臓マヒ】なんて見出しで三面記事を飾るんだろうか?その後ウナコーワクールの注意書きに『全身への塗布は危険です』とゆう項目が追加されるのだろうか? そんなどうでもいい事ばかりだったのでした。

やっぱり死ねない!死んでも死ぬワケにはいかない!と気力で、気力だけで熱い湯船に飛び込みました。

ï½\ï½\ï½\生きております。とりあえず心臓マヒは免れたようです。しかし助かったと思ったのも束の間、43℃はあるハズの湯がまるで水のように冷たいのであります。
「ぬゎぜに!」という怒りもぶつけどころがないワケで、もう少し様子を見ようと湯船の中でうずくまっておりましたが、相変わらず湯は水のように冷たいままです。

「ぬぉー絶対生きて帰ったるんじゃい!」などとは言ってませんが、このまま浸かっててもダメだ。と湯船に見切りを付けたおでは空気のå…\ったペットボトルのような勢いで湯船から飛び出しました。笑えるくらい必死です。


しかし、これは自殺行為でしたよ。湯水に浸かった事で余計に寒くなったように思われます。真冬の一番風呂より寒いです。最早ひたすらブルブルと震えております。鏡は見てませんがたぶん唇は紫色だと思います。そんな経験は小学生の時ä»\æ\です。


この時、何を思ったのか、もう今生のåˆ\れを悟り思考がブチ切れたのか、おでの手は無意識に体を洗うタオルへと伸び、震える手でボディソープの容器をプッシュしております。もう完全に思考は停止していました。自分的にはかなり瀬戸際だというのにこの期に及んでまだ普段と同じように体を擦るつもりのようです。これは風呂におけるセレモニーなのか、まったく習慣って恐ろしいですね。次の瞬間、完全に停止していたおでの思考が再び呼び覚まされました。
「痛っ!痛いわコルァ!」誰に怒ってるのかçŸ\りませんが、とにかくカラダを擦るたびに皮膚に激痛が走ります。

しかし、どうでしょう。
カラダを洗うとさっきより少し温度を感じているような気がしてきました。そう、たぶん塗布されていたウナコーワクールが洗い流されたのでしょう。
習慣よ万歳。人間は無意識に生にしがみつこうとするのだ。生き延びようとする本能、それが生命力なのだ。おでの中で新しい哲学が生まれました。

「よし、もう一回洗ってみよう。」という哲学です。

結局、死ぬ気で風呂にå…\ってから30分にしてやっとおでは常人の体温を取り戻す事ができたのでした。僅かばかりのå\½å\‡å¿ƒãŒã¨ã‚“でもない事になるという、イソップç«\話にも似た残酷な教訓です。散々な一æ—\でした。
そして、翌æ—\友人にウナコーワの危険性を熱く語るのですがまるで相手にされず「アンタ、アホやない?」と笑われて終わりました。いや、笑えないよ、マジで。