ハム詰め合わせ

さて、今日は少し夕食の時間を遅らせてハム達のエサを買い求めに車を走らせました。殿下は助手席でブーブー言ってます。夕食の時間が遅れるという事はその後の全ての用事もズレ込んでいくという事なので、ブーブー言いたいのはハム田の方であります。
昨日調べた情報によると、オススメのハムスターのエサとして多くのハムマスターが口を揃えたように『ニッパイのプチハムスターフード』という商品を推しているのですね。製品のパッケージに書かれている『尿臭をカット』『理想的な栄養バランス』なんて謳い文句は正直全くアテになりませんが、これは信頼できる情報であると思われます。
無論そのプチナントカを購入するつもりであります。昼休みに近所のストアも覗いてみたのですが普通に置いてませんでした。仕方なく、市内では最も豊富にペット用品を置いているホームセンターに狙いを定めましたが、なんでこんなに道が混んでるんだ。ハム田は腹が減ってるんだ。緊急自動車になりたいんだ。


そのホームセンターのペット用品の品揃えときたら、ほんとにホームセンターと言うよりはペットグッズの店と言った方がいいくらいであります。
もう特に犬猫用のグッズの多い事、多い事。ワンこの洋服がちょっとしたブチックくらいあります。なんで人間は犬に服を着せたがるんだろう、犬にはあんなに立派なふさふさの体毛があるのに。
ハム用品も沢山ありました。ハムスター用のリード(ヒモのついた首輪)なんてモノもありました。あんなに小さいハム吉に首輪つけてヒモで結わえて一体どうしようって言うんでしょうか。そりゃ犬みたいにお散歩できりゃかわいいかもしれませんが、このハムスターの異常なまでの臆病さを考えるとまさに拷問以外のなにものでもないと思われます。
ほんと、こういうのって人間の欺瞞と言うか。まあ、動物をペットとして飼ってる時点で欺瞞かもしれないので四の五の言えたモンじゃないですがね。

それはともかくとして、お目当てのプチナントカを見つけました。それと何か、ハム達の隠れ家みたいになるモノが欲しいな、と思います。
ハムスターは通常は地面に巣穴を掘って地中で生活している生き物なので、暗くて狭い場所が落ち着くし好きなんですね。今のケージの中は床材と回し車とエサ箱しか置かれてなくて身を隠すモノが本当に何もないので落ち着こうにもなかなか落ち着けないのだと思うのですよ。ヤツらが多少カジっても安全な自然木でできた小さな箱でフタを開けて中の様子も見れる手頃な大きさのモノがあったのでそれと、ハムスターは遊ぶのも大好きなので階段状で中は空洞になったステージと巣箱を兼ねたようなモノを一つ購入する事にしました。
あとは、ミネラルの補給用に塩土。これはくる病になるのを防ぐために鳥なんかによく与えたりしますね。大きさ形状ともに軽石みたいなモノで鳥篭の中に一つ入れておくといいんですがね、アッと言う間に塩土なのか糞の塊なのかわからなくなるので、気休めみたいなモンだと思います。

他にも何か必要そうなモノがないかザッと見ていきます。

砂浴び用バス。いわゆるハムスターのお風呂ですね。ハムスターは犬や猫のように湯水で洗うと高確率で死ぬらしいです。水が苦手とか溺れるとかではなく、自分のニオイが消えてしまった不安からくる恐怖でショック死してしまうんだそうです。小動物って水浴びが好きそうなイメージがあるんですけどね、とんでもない事ですね。そんな可哀相な死に方だけはさせたくないです。ハム田の方がショック死しそうです。
ハムスターのトイレ。そんなモノもあります。ハムスターもトイレのしつけは可能らしいのですが、トイレのしつけがちゃんとできたとしても決まった場所でするのはおしっこだけで、うんこはドコででもするんですね、彼らは。トイレの意味があるのか、それ?おまけに、トイレの砂で砂浴びしてしまったりもするらしい。

砂浴びバスはいずれ必要だとは思うがトイレの必要性はこの先ケージが放つニオイがただものではなくなった時に改めて考えるとしようではないか。どっちにしても今のケージの広さではこれらの設置は不可能だ。ケージを増設してからの話だ。
そう、ケージもいずれあさことたけしを分けなければならなくなるのでもし今使ってるのと同じのがあれば買おうと思ったのだが、全く同じものは残念ながら売ってなかった。せっかく今の環境に慣れ始めているのに新しいケージに入れられたらニオイのついた床材などを一緒に入れてやったとしてもあまりに環境が違うとまた落ち着かなくなるかもしれないので、できるだけ同じケージを使った方がいいんじゃないだろうか。というハム田の勝手な思い込みだ。
ケージは家に帰ってからネットで探す事にしよう。ネットってほんとに便利だ。

きっとこういうのがネットの模範的な使い方なんだろうな・・・。今更ながら自分がネットでやってる事の不毛さに気付くハム田。

インターネットって超クールさ!と偽ビルゲイツも言っていた。

しかしそんな事はどうでもいい。

必要なハム用品を購入したハム田、帰路を急ぐあまり橋を下った先の渋滞に突っ込みそうになってやや急めにブレーキを踏んだ勢いで、助手席で夢中になってバナナポッキーを貪り食っていた殿下がバナナポッキーごとダッシュボードに激突した。折りしも先日打ってプラプラしてる前歯のところをまた打ったらしい。それでもポッキーは離さない。しかし、鬱陶しいだけだと思っていたシートベルトやジュニアシートの重要性を生まれて初めて身をもって痛感したようだ。

ケガの功名である。

家に帰ったハム田は晩飯を仕掛けている間に買ってきたハム用品をセッティングしにかかる。うまい具合にヤツらはまた隅の方で固まってグッスリと眠っている。しめしめ、今のうちに寝床にする木箱を設置してしまえばまた嫌われないで済むぞ。エサは起きてから交換して好感もばっちりアップだ。ウマイ!ハム田頭いい。
まず箱の底におしっこ用の砂を少し敷いてその上に床材を入れ、現在布団にしている綿をあさことたけしを起こさないようにソッと少しむしり取って新しい綿と混ぜて箱の中に敷いて、これでふわふわベットの完成だ。問題はこの箱に2匹入れるのかどうか、という点だ。単純な面積の計算では入りそうなのだが先に箱に入った方が綿や床材を引っ掻き回したり、或いは体で入り口を塞いでしまったら恐らくもう1匹は入れない。寝床になりそうな箱はもう一つ買ってあるが、さすがにこのケージの広さでは二つ置くのは無理だ。まあ、案ずるより生むが易し、と申しますし、どっちか一方が入れなかったとしても、新しいケージが届くまでの辛抱だ。巣箱を占領した方を巣箱ごと新しいケージに移せばまた嫌われないで済むしその方がハムも新しいケージに馴染みやすそうじゃないか。冴えてるね、ハム田。
そうして巣箱を設置したハム田はあさことたけしを優しく包んでいる残りの布団を無情にも剥ぎ取ります。布団はまたしてもうんちまみれです。恐らくこの隅っこの一番落ち着くスペースで彼らは頬袋に貯めたエサを貪り食いながら糞をし、寝てはまた食い、食っては糞をしているのだろう。しかしそれも今日までだ!ハハハハハ!
なんだか吹き溜まっていた悪を成敗したような気分だ。

布団を引き剥がされた事に気付いた2匹がゴソゴソと動き始めたので、エサを買ってきたばかりのプチナントカに交換します。しかし、今日まで美味しそうな木の実がたっぷり入ったエサを好きなだけ食っていた彼らがこの簡素なエサに食指を動かしてくれるのだろうか。まあ、腹が減って他に何もなければどんなに不味くても食うとは思うけど。しかし、念のためひまわりの種を取り除いて木の実類を少しだけ混ぜて与えた。どうしてもヤツらを甘やかしてしまうハム田、ダメなハム田。

だって、好かれたいんだよハム田、ヤツらに

そう言えば、ハム田が仕入れた情報の中に【ハムスターに嫌われる人間と気に入られる人間】というモノもあった。
ハムスターは視力が悪いので、人間をハッキリとしたカタチでは識別してなくて、何か大きい動物だ、くらいに思ってるワケですね。なので、ハムスターにとっては人間の目や歯はとても怖いモノらしいのです。大きな目が自分を見ているとカエルがヘビに睨まれてるみたいな心境になるし、歯を見せると「アイツあの歯でおでを食べようとしてる!」と感じるのだそうです。
なので、真っ赤な口紅塗ってマスカラでまつげグリグリにしたおめめパッチリの美人や、白い歯と歯茎までみせて笑う爽やかな美男子などは人間にはモテてもハムスターには嫌われる。「きゃーん、超かわいい〜!」とかって黄色い声を上げてニカッとハム吉に笑いかけても当のハム吉は「こいつサイアクー」と思っているのだオマエの事なんか。

そうだ、じゃあアレだ。白目剥いて歯を見せないように接すればいいんじゃないか?ちょっと試してみよう。ハム田は思いついた事は何でも試さずにはいられない人だ。

「イヤー!やーめてもうやーめて〜!」

ハム吉どもは平気そうだが、殿下が怯えてしまった。
こう騒がれてはハム吉どもが殿下の奇声に怯えてしまうし、別に河童みたいな口をしなくても口を普通に閉じてれば歯は見えないんだ。それよりも何よりも自分が白目では肝心のハム達が見えない。大きな誤算だ。

ちなみに、逆に目が細くてあまり笑わず動きが鈍くてボソボソと話すような人はハムスターに警戒されにくく、加えて汗かきだったり体臭がキツいとニオイで覚えてもらいやすいんだそうですよ。まあ、ヲタクとか、キモいとか言われて人間にはモテそうにないけど、ハムスターにはモテモテなんだぞ、と胸を張れる事が一つでもあってヨカッタですね。とハム田も心温まります。

おっと、そうこうしているうちにたけしが巣箱に気付き、何のためらいもなく中に入って行ったではありませんか。中でたけしが小さなおててで綿を掻き混ぜて快適な寝床を作っているのが入り口の小さい穴から垣間見える。あさこはしばらく巣箱の周りを調べていたが中の様子をちらりと窺うと「フンッ」とでも言わんばかりにまた隅っこのあのスペースに戻っていってこっちに尻を向けて寝てしまった。たけしの方が、ちょっとかわいいかも。もうそこには布団もないのに、絶対に巣箱の中の方が快適なのに、なんて意固地なんだ、あさこ。そういうの先生かわいくないと思うぞ。とか言っても仕方ないので、あさこの為に綿と床材を絡めて布団をこしらえて置いてやった。巣箱、喜んでくれると思ったのに・・・。ハム田しょんぼりである。

しかしいつまでそうやって意地を張っていられるかな?ん?絶対に、遠からずあさこは巣箱に入りたくなるに違いない。
だが、あさこがたけしを巣箱から追い出してしまったらどうしよう。いやいや、いくらあさこがふてぶてしくてもそこまでジャイ子ではあるまい。まさか、ウチのハムに限ってそんな事。

案の定、明け方にはあさこも巣箱の中にいた。たけしも無事巣箱の中にいる。2匹で入るのに狭いのか、ニオイつきのお布団は半分ほど外へ放り出されていた。
仲良しだ。やっぱり2匹ともかわいい。口の中に入れたい。

ハム田の愛情表現は若干歪んでいるので、気をつけたい。