損するハムと得するハム

ハムがウチにやって来て6日、巣箱を設置して3日が経過したが、たけしとあさこの奇妙な変化にハム田は気付いた。

たけしに比べあさこの方がケージの中をゴソゴソと動き回る事が多くなった。逆にたけしは起きていてもほとんどの時間を巣箱の中で過ごし、食べ物もエサ箱に取りに行って慌てて頬袋に押し込み巣箱に持ち込んで食べているようだ。無論オシッコも巣箱の中でしている。
このたけしの行動は巣箱の外に出るのが怖くてたまらないハムスターによく見られる行動のようだ。最初たけしの方が少し活動的だけどバカで、あさこは警戒心が強くてちょっと賢い、と思っていたハム田ですが、どうやらたけしがやたらウロウロしていたのは怯えてパニックに陥っていたが身を隠す場所がなかったのでそうなっていただけなのかもしれない。対するあさこは冷静に目の前の物やハム田達を観察していたようにも思われる。まあ、たけしはちょっとバカであさこはちょっと賢い、という事はあまり間違っていないようだが、たけし、バカはともかくビビりだなんて、男としてはかなりダメな部類だ。母さん悲しいです。
たぶん、たけしがどんくさげに見えるのは臆病でいつも腰が引けてるからなのだろう。段差から降りるときも、降りると言うよりはボテッと落ちているカンジだ。
たしかにあさこは警戒はしていたけれども元々少しケージの外に出たがったりしてフロンティアスピリットを垣間見せていた。最早ケージの中を調べつくしたあさこは退屈で退屈でたまらないようだ。あさこは少し部屋の中を散歩をさせてやった方がいいかもしれない。


そして、本日より『ハムの世話は夕食後』という項目がハム田家憲法に新たに追加されました。
ハム田がゆったりとソファに座れる日は恐らく永遠にやってこないと思います。でもいいんだ。与えたいんだ、ひまわりの種を。
さあ、ひまわりの種を与える時間です。まだ部屋が明るいこの時間帯は大抵の場合2匹とも巣箱の中にいます。いますが、ハム田の気配を感じるとあさこは巣箱から出てきて、もうハム田を見るや否や狂ったようにアピールしてきます。まだ何も手に持っていないのに何かくれると信じて疑わないようです。ハム田がハム食人種かもしれないなどとは全く思いもしないようです。すごい順応性です。すごいいやしん坊です。
対するたけしは全く巣箱から出てくる気配がありません。取り敢えずまずはあさこにひまわりの種を与えてやります。夢中で殻を剥いで中の実を頬袋に押し込んでは次から次へとひまわりの種をせがんできます。試しにひまわりの種を手のひらに一つ乗せて誘ってみたトコロ、何のためらいもなくハム田の手のひらに乗ってきました。怯えている様子は全くありません。あさこはハム田の手の上でモヨモヨと蠢きながらカリカリとひまわりの種を貪っております。

嗚呼、小さい、まん丸い、やわっかい・・・

ほ、ほおずりしたひ・・・!

いかん、我慢だ、我慢だよハム田くん。ここで嫌われてしまっては元も子もないのだよ。

そうこうしていると、たけしも辛抱たまらなくなったのか、やっぱおでもひまわりの種食いたいかもしれん、てなカンジで鼻をヒクつかせながら巣箱から出てきます。そう、そうだろうとも、たけしくん。
あさこは既に当たり前のようにケージの外に出てひまわりの種を食い散らかしておりますが、たけしはまだ巣箱から出てくるだけでもイッパイイッパイの様子なので、できるだけ巣箱に近いところでひまわりの種を渡してやります。ひまわりの種を与えながら少しずつこちらへ誘き寄せようと試みますが、どうにかケージの入り口付近までは来ても絶対に外には出ようとしません。たけしにとっては外の広い世界よりも安全なケージの中が最も快適な場所なのでしょう。まあ、無理強いはよくありません。それにしても、たけしはあさこと違いひまわりの種を受け取っても殻を剥かずにそのまま丸ごと頬袋の中に詰め込んでいます。

たけし『俺ぁブツさえ手に入りゃいいんだ。余計な手間(スキンシップ)は省いてとっとと取引を済ませようじゃねぇか親分さんよぉ。おおっと、ちょっとでも変なマネしてみろ、俺ぁいつでも巣箱の中に逃げ込む用意があるんだぜ?』(ハム田アイの映像)

まあ、そんな事は思ってないだろうけど、相当臆病ですよ、これは。ひまわりの種もっとほしい、でも一刻も早くこの場から去りたい、という具合にたぶん気持ちはひまわりの種を受け取っては逃げ、逃げては受け取り、のゲット&アウェイ状態なんだと思います。

ハム田まだ何もしてないじゃないか、もっと落ち着いて、冷静にハム田の事見てくれよ!

いや、もしかするとハム田は絶世の美女なのかもしれない(参照:ハムスターに嫌われる人間)

いやいや、ハム田の方こそ冷静に自分を見つめろだ。

早々にひまわりの種を受け取ることをやめたたけしはそのままケージの隅っこに行って、なんと、頬袋に詰め込んだひまわりの種を半分くらいそこに吐き出しました。まさにキャッチ&リリースであります。

たけし『おまえのくれたひまわりの種なんかいらねぇよバーカ!ペペペペッ』(ハム田アイの映像)

ハム田、ショッキング!!

しかし、これは単に頬袋に押し込んだ食料を特定の場所に隠して貯蔵する、というハムスターの習性なんですね。どうやらたけしはその場所を食料貯蔵庫に決めたようです。吐き出した殻の付いたままのひまわりの種をその場に残し早々と巣箱の中に姿を消しました。たぶん、巣箱の中でくつろぎながら残りのひまわりの種の殻を剥いているモノと思われます。
恐らくたけし的には吐き出したひまわりの種はハム田達が寝静まった後にゆっくりと味わおう、と楽しみにしているのだろうが、世の中そんなに甘くないのだ。この、既にたけしの3倍くらいは食ってるにも関わらずまだ際限なくひまわりの種を欲しがるあさこがケージに戻ってたけしの宝物を見つけたら容赦なく食べてしまうに違いない。

人間もハムスターも同じだ。たけしのように頑なだと損はしてもいい事は何もないだろう。

たけし・・・・(ひっくり返って寝てる)

お母さん、たけちゃんが心配です。