サヨナラ、ハム

ここ数日は、あさこのみならずたけしまでもが一緒になって一晩中滑車を回してくれるおかげでハム田、眠れない日が続いている。ジュニ吉時代の悪夢再来である。
それにしても殿下にはこの騒音が全く聞こえていないのか、ハム田だけに聞こえているのか、ラップ音なのか、ヨーヨー言っているのかヨー。

しかし、そんな悪夢とも今日でオサラバなのだ。

先日ネットで注文しておいたハムスターサークルがハム田の許に届いたのである。これさえあれば、これさえあれば、広いスペースで思う存分遊ばせてやれるのです。


取りあえずサークルを広げ、中にハムスター用の玩具を並べる。綺麗好きのあさこはまたしても入浴中だ。

常時外に出たがるあさこは順応性も高いのでハム田の手に乗せてサークルの中に連れてくればいいが、臆病なたけしはそうもいかない。


まるで珍種の亀である。ダメなたけちゃん。仕方がないのでたけしはケージごとサークルの中に入れて自然に出てくるのを待つ。
思ったとおりサークルの中を活発に動き回り、おもちゃのシーソーをカタンカタン言わせて殿下を喜ばせるあさこに対し、やはりケージからなかなか出てこられないたけし。下半身の重さは如何ともし難い。
どうにかケージからサークル内に降り立ったたけし、ごほうびのひまわりの種をこれでもかというほど頬袋に詰め込むと、玩具なんかには見向きもせずにあさこの尻を追いかけ始めた。あさこに背中から圧し掛かって行く気マンマンだ。ヤメテクレ、ハム田が見てる前で、そんな事はヤメたまへ!

ハム田、他人のセックスなんざ見たかねぇのです。たとえそれが家畜であろうとも。

ここで交尾されてはたまらない、とハム田はひとまずたけしを捕獲し一旦ケージの中に閉じ込めました。たけしのストーキング行為を重く見たハム田署はたけしに対しあさこへの接近禁止令を発令したのです。

というワケで、交替で遊んでもらいます。

いや、いいんですけどね、交尾しても。ただ、今交尾されても、まだハムスターの扱いにあまり慣れていないハム田は、繁殖を成功させる自信がありません。
鳥のヒナなら何羽も育てた事があるんですがね、しかし、ヒナ達をいつ、どんなタイミングでどのようにして親鳥から引き離したのか、若年性アルツのハム田は全く思い出せないのですよ、ヒナの育て方だけは覚えてるのに。
まあ、人間に飼われている小動物にはよくある事ですが、セキセイインコなども割とヒナを殺してしまうんですね。孵化してすぐに殺してしまうワケではないですが、必ずしもそうとは言い切れないので孵化後なるだけ早く親鳥から離した方がいいのですが、全ての卵が孵化する前にこれをやってしまうと気が荒立ってほとんどの場合残った卵を温めなくなってしまうので、非常にタイミングが難しいのです。

ハムスターもストレスを与えると子食いすると言いますが、彼ら哺乳類は授乳期の間はどうしても親から引き離す事ができない、できないと言うか引き離した後の人工飼育が鳥などとは違って難しいと思われるので、引き離しのタイミングや、その後の後追い繁殖を防ぐための雌雄の分離、一体あといくつハムスターのカゴが増えるのかよ、などなど、ハム田的にはもう少し、心の準備が必要です。

たけしには気の毒だが、もうしばらくチェリーでいてもらおう。

さて、ハムスターサークルのおかげで今夜はハム田にも平和な夜が訪れるに違いない、と思っておりましたが、そんなハム田の夢はアッサリと打ち破られました。
外で沢山遊ばせたのに、あんなに遊ばせたのに、まるで何事もなかったかのように、今夜もガラガラやっております。

もう、ダメだ。マジ、カンベンしてください、ほんと、すいませんでした。ハム田が悪うございました。
謝ってみたところで彼らの滑車を回すペースが衰えてくれるワケではない。

しかし、ハム田も勤め人です。お勤めが終わってもハイ一日のお仕事終わり〜ってワケじゃありません。家事も育児もあります。普段からあまり寝ない事に定評のあるハム田ですが、ここ最近はトシのせいなのかほんと、寝ないとすぐに死にそうになります。こう眠れない日が続いては日常生活に支障をきたします。

夜間、ハムは別室に移す事に決めました。朝までしばしのお別れです。
そこならいくら滑車を回そうが、ハム田の寝てる部屋には何も聞こえません。静寂って最高。

しかし、もしかして、この音がお隣に響いてやしないだろうか・・・、そう思うとハム田、やっぱり眠れません。