食べつくすハム

そんなこんなで、2匹を別居させてサークル内で遊ばせるようになってからと言うもの、たけしの引き篭もりは徐々に快方に向かっている今日この頃。ハム田の気配を感じるとごほうびを貰おうと巣箱からのそのそ這い出てきて金網にカジりつくようになったたけし。

そう、たけしもまた、あさこに引き続き激しく金網をカジるようになってきた。

そこで、ハム田はあさこの時と同じく”カジってはダメだよ”とたけしの鼻の頭を軽く叩いてみた。

叩く、と言うと何か動物虐待してるようで印象が悪いので、以後この行為を『ポム』と呼ぶ事にする。(ハム田法典より)

鼻の頭をポムすると確かに一瞬動きは止まるのだが、たけしの場合はあさことは違い、何か考えていると言うよりは『何だ?今のは何だ?何が起こったんだ?』ってなカンジでハム田の指とは全然違う方向に向けてフンフン鼻を動かして『気のせいか、まあいいや』と言わんばかりにまた激しくカジり始めるのである。

コイツは、鼻の頭をポムされた事すら理解していないと見える。それに、なんてひどいアホ面だろうか。
しかし、諦めてはいけない。アホだからと言って見捨ててはいけないのだ。少々アホだって、その気でやれば多少の事はできるモノなのだ。いつかは。いくぞ、たけちゃん!

ポムべし!ポムべし!


さすがに連発するとポムされている事に否が応にも気付くたけし。しかし、自分の鼻の頭が意図的にポムされている事を悟ったたけしはポムされるたびに動きが止まるトコロを通り越していちいち金網から手を離してボテッと落ちてしまうのだ。しかも、背中から地面に落ちて、なかなかカラダをひっくり返す事ができずにまるで亀のように仰向けのままジタバタしている。デブはすぐには起き上がれない。
いやいや、ポムしたから、というワケではなく、たけしは常日頃から金網によじ登っても上手に降りる事ができず、降りる時はいつもボテッと落下しているのである。
高さこそないが、落下する際、金網に足が引っ掛かったりすると骨折する可能性も否定できないので、これは危ない。
それだけではない。それでも調子に乗って金網をカジりまくっている時に落下しそうになり、金網に歯が引っ掛かって『ジジジジッ!!』とすごい悲鳴をあげたりしている。
なんと言うどん臭さだろうか。これにはハム田も言葉を失ってしまった。
しかし、そのような痛い目を見ても懲りずにまた金網をカジるのである。たけしの学習能力は恐ろしく低い。最早、ポムする事でたけしにカジってはいけないという事を教えるのは諦めた方がよさそうだ。

それにしても、以前に比べ随分と運動量が増えたハズのたけしだが、一向に痩せる気配はない。
むしろ、更に太っているようにすら見える。いや、間違いなく太っている。
あさこは飼い始めた頃とほとんど大きさが変わっていないが、たけしは既にあさこの倍くらいの大きさになっている。
何故、あさことたけしにここまで体格の差が生じたのか、ハム田は何となくその原因がわかったような気がする。

例えば、チーズを与えた時、あさこはチーズを受け取ってある程度は食べるが決して一気に全部食べる事はなく、常に一定量を食べると一旦食べる事をやめる。どうやらあさこは自分が食べる量を上手にコントロールしているのである。コイツは、マジでかなり賢い。
対するたけしは、チーズを受け取った瞬間からチーズがなくなるその時まで一心不乱にチーズを食べ続ける。食べられる量に差がある、というよりは、どうやらたけしは胃袋と頬袋の限界を超えてもなお食べる事をやめられないらしい、そこに食べ物がある限り。
エサ箱の中のエサにも同じような違いが現れている。夜、2匹に同じようにエサを与えて、翌朝見ると、あさこのエサ箱には充分なエサが残っていて、ヘタすりゃ2日くらい持つのに対し、たけしのエサ箱は翌朝には常にほぼ空の状態である。
ハムスターは頬袋や棲家のドコかに常に食べ物を蓄えておく習性があるので、エサ箱が空になったからといってすぐに補充する必要はないとわかってはいるものの、ひもじい思いをさせてはかわいそうだ、とハム田がついつい与えてしまうモンだから結果的にたけしはあさこの倍は食べている事になる。そして、体格はあさこの倍くらいあるから計算はぴったり合うというワケですよ。

まあ、デブでもいい。取りあえず引き篭もりはクリアできたんだし、多少太ってるくらい、そのうち何とかなるだろう。

しかしだ。このように、たけしが引き篭もりを克服したかと思ったら、今度は逆にあさこが寝床に引っ込む事が多くなった。それでも砂浴びはよくしているし、夜中には散々滑車を回しているが、ハム田達にアピールしてくるのはオヤツの時間と外に出たい時だけになった。

元々、動き回るハムスターの写真を撮るのは難しいのですが、特にあさこは撮影ライトが苦手なのか、カメラを構えるとすぐに寝床に引っ込んでしまうので、なかなか写真が撮れないのである。
そういうワケで、ここのトコロは呆けてフガフガしてる分撮影しやすいたけしの写真がメインとなります。

特に、たけしは何か食い始めると微動だにしなくなるので、非常に写真が撮りやすいです。まさに一心不乱です。

これは、チーズを手に持って食ってます。小さなおてて、たまりませんね。カラダはデブなんだけど。

そして、これは生茶くんご希望のパイプでうごうごです。

生茶の思い描いているパイプでうごうごとは若干違う図式だろうとは思いますが、お遊び用のパイプに詰まってるたけちゃん、ひまわりの種でどうにかここまで誘き寄せました。ハム田もたけしも、これがいっぱいいっぱいです。

お次は、ゲートをどうにか乗り越えようと必死のたけちゃん。

嗚呼、かわいひ・・・

やっぱり、あさこに比べて締まりがなく表情がアホっぽい。でも、かわいい。アホだけど、かわいい。

いかんいかん、コイツらに関わっているといくらでも時間が過ぎてしまう。


『ハム田サン、もっと遊んでよ〜』

はうっ!見ないでくれ!そんな目でハム田を見ないでくれ!