ハムを増やそう的試みのススメ

ハムスターの一生は短い。

みたいなフレーズをここ何回かのハム田日記に書きましたが、己が書いておきながら書くたびハッといたします。
知識として頭の中でわかっていても普段ハム達に接している時はヤツらの愛らしさばかりに目がくらんでそんな事は忘れてしまいがちです。

しかし、こうして改めて活字にして書くと、そうだよ、ヤツら再来年くらいには死んでしまうかもしれないんだ。という実感が妙に湧いてきます。

小学生の時、こくごのノートに『わたしはもりおくんをふでばこでたたきました。』と何十回も書かされた一見無意味な見せしめとしか思えないあの罰には、そういう狙いがあったのかもしれないな、なんてフと思いました。だとしたら、たぶん小学生に対してはそのような効果は望めません、と先生に忠言申し上げたく思います。いや、そんな事はどうでもいいんですが。



ともかく、ハム田はこれまでそんな短命な哺乳類を飼った事がないので、なんと言うか、それを考えるととてもブルーになります。
彼らとハム田の間に与えられた時間は最初から短かったのだ。にも関わらず、最初の一歩で躓いて彼らの信頼を得るのに大きく出遅れてしまった事でその貴重な時間の何割かを無駄にしてしまったような気がしますし。


と言うのも、そもそも彼らはハム田の30回目の誕生日にハムの人から贈られた供物で、当然ハムの人がウチに連れてきて殿下とハム田とハムの人の三人でご対面したワケですが、何しろ突然の事でハムスターの生態に関する知識などまだなかったハム田達は無論欲望にまかせ彼らを撫で回します。
たぶん、この時ハム田よりも殿下よりもむしろハムの人の方がハム達とのスキンシップを心待ちにしていたのだと思われます。

ハムの人は大変動物好きですが、何と言うか、動物の可愛がり方がちょっぴりサディスティックであります。サディスティックと言っても別に危害を加えるわけではありませんが、わざと嫌がるような事をして身をよじらせる動物達を見てフフフと笑みをこぼすような、セックスの時に女の子に軽くあられもない格好をさせたり厭らしい言葉を言わせたりして恥ずかしがるのを見て「あーたまんね、可愛いなあもう!」と愛しさが込み上げてくるのとちょっと似てると思います。いわゆるソフトSというヤツですね。

あさこは当時からイヤガラセをされると甲高い鳴き声をあげ、一方たけしはオドオドするばかりだったので2匹に交互に悪戯をしては「うん、鳴く方がメスっすね」と、おもしろがってやたらあさこを鳴かせ、もう完全にセクハラオヤジ状態だ。一方たけしはハムの人の手の中で頬袋に詰め込んだ食べ物を次から次へと吐き出していた。それすらも「わー、かわいー!」なんて思いながら見ていたハム田だったが、後に知ったトコロによると、ハムスターが頬袋の食べ物を吐き出すのは、その場から逃げ出したくてたまらないという恐怖の表れだとか。

初日にして、既に完全に失敗していたのである。

ハムの人が帰った翌日、いんたーねっとでハム飼育に関する情報を集め始めたハム田は、どの文献にも我々の初日の行動が『間違ったハムスターとの接し方』であると示されている事に軽く衝撃を受ける。我々のやる事なす事ことごとく『間違った行動』と記されている事に何か万物の創造主の意思のようなモノすら感じるハム田。読むごとにブルーになっていくハム田。


嗚呼、もうダメかもしれん


そんな絶望から1ヶ月、普通ならハムスターは平均1〜2週間で自分の置かれた環境に慣れ納得すると言われているが、初日の失敗が祟ってかハム田家ではそれを勝ち得るまでに通常の倍ほどの時間を要した。欲望を抑えストイックなまでに『模範的』にハムスターに接する事でどうにか徐々に彼らとの間に信頼が生まれ始めたように思えたある日、ハムの人がハム田家を訪れた。

たけしとあさこを可愛がるハムの人のそれは、無論初日のそれと同じだ。同じだが、あまりにも嬉しそうに可愛がるので「やめてくれ」とも言えない。本当に、嬉しそうなのだ。それに、セックスの最中にわざと焦らされたりほんのちょっと辱められるのはまんざらでもない、むしろ官能的じゃないか、と。ハム田的にはアリだと思うのだ。始めはいやがってても段々よくなってきてそのうち病み付きになる、そういうモノだ。いや、そういう問題ではないけれども。


まあ、案の定この後あさこはフクれ、たけしは更にオドオドし、ハム田家の人々とハムの関係はまた少し後退してしまった。

しかし、すっかり当たり前のハムスターと飼い主の関係となった今にして思えば、彼らよりハム田の方がマニュアルを意識するあまり神経過敏になり過ぎていたのかもしれない。


とにかく、あさことたけしとこのまま何年も暮らせるワケではない、という事が日増しにハム田の胸に重くのしかかってきます。

彼らがいなくなると寂しくなりますが、彼らが死んだ後また生き物を買ってきて飼おうという気にはたぶんなれないと思います。なので、できればここ1年くらいのうちにでも彼らに子孫を残してもらいたい、と。そろそろ孫の顔が見たいのう、と。結構マジで考えてます。

ハム田とハム達の関係は徐々にいい方向に向かってまいりましたが、あさことたけしの関係は相変わらずで(6/5『ハム近況』6/18『横たわるハム』参照)このままではハム田の願いはなかなか叶いそうにありません。

ハムスターのメスは7日周期で発情する、という情報を得てますが、これでは正直いつ発情してるのか全然わかりません。例えば七日間のブランクの後に何日間か発情するのか、それとも『あたいは毎週水曜発情』みたいなカンジなのか、どう捉えたらいいのかわからないし、それに、オスはどうなのか。人間みたいに年中発情してるのか?

あ、オナニーしてたって事は、そうなのかも。

そういった事も踏まえると、できるだけ沢山交尾の機会を与える必要があります。

そこで、いつもはあさことたけしを一緒にするのはケージの大掃除の時だけでしたが、ここ最近は割りと頻繁にあさことたけしをスキンシップさせペアリングを試みております。


本日はその時の二匹の様子を追ってみました。

http://osoreiri.net/blog/0_0010.jpgまず、ファーストコンタクトからしてこの状態です。近寄ってくるたけしにあさこが先制攻撃を仕掛け牽制をかけます。哀しくなるほどに相変わらずです。

やられてる時は普通に尻込みしてますが、それでもあさこに興味津々のたけしはまだこの段階では色んな意味でヤル気マンマンと見え、攻撃を掻い潜りあさこに迫ります。

しかし、あさこはかなりすばしっこいので後ろから迫っても普通に逃げられるし、前から迫ろうとすると強烈なパンチをお見舞いされてしまいます。今日はこのあさこパンチをどうにか写真に収めたいと思っております。

ちなみにこれは、軽く糞などの掃除をする時に使っている彼らの別荘です。ご覧の通りただのダンボール箱ですが、彼らはサークルよりもこっちの方が落ち着くようです。

しばらくそんな追いかけごっこが続くと、いよいよ追い回される事に嫌気がさしたのかあさこは滑車に飛び乗り信じられない速さで滑車を廻し始めます。これをART(Asako Rolling Typhoon)と名付けたいと思います。名付けただけで、たぶん使いませんけど。

この頃からたけしのボルテージが急速にダウンしていきます。『いや、ええですて。わかってますて。デブやからでしょ?もうそんなんでフラれるの慣れてますもん』と言わんばかりだ。

でも、『ヤリたい』って気持ちも少しは残ってるみたいです、まだ。どうにもならない鬱憤を滑車にぶつけるかのように、突如滑車に突進して廻し始めます。ますが、Asako Rolling Typhoonと比べると熱帯低気圧とすら呼べない勢いです。しかも、休憩が多い。

滑車の中で休憩しているたけしを見たあさこは滑車に飛び掛っていきたけしを追い払います。そこは自分の場所だ、と思っているようです。

交尾はおろか、滑車に乗る事すら許されなかったたけしはパイプの中に潜り込んでいきます。潜り込んだたけしは丁度曲がり角のあたりで止まってしまいました。別に、太ってるせいで動けなくなったワケではなさそうです。どうやら自分の殻に閉じこもりかけているらしい。
滑車からその様子を見ていたあさこ、今度はパイプの所にやってきて後ろからグイグイとたけしを押し出します。「何してんのよ、それもアタシのなのよ!」というトコロでしょうか。完全にたけしを部外者だと思っているようです。

と言うか、ほんとに毛嫌いしてるように見えます。人間以外の動物は自分の遺伝子を後世に残す事が生きる目的であり、そのため確実に生き抜けるようより優秀な遺伝子を持つ相手と交尾を望むモノです。たしかに、たけしは運動能力にしても体型にしても優秀な遺伝子を持っているとは思い難いですが、それでも他にオスがいなければ取り敢えず妥協して確実に遺伝子を残す道を選びそうなモノですがね、あさこの理想が月だとするとたけしはスッポン以下なんでしょうか。そんなふうに比喩されてるスッポンだって屍になると結構重宝されてるんですが。

しかし、パイプから出たスッポン未満(たけし)はあさこがパイプから出てくるのを待ち伏せ残った勇気を振り絞り最後の足掻きを見せます。普通に哀しい予感しかしない。案の定この一瞬後にあさこパンチがたけしの顔面を直撃、たけしの勇気は無残にも塵芥と化した。もう一瞬シャッター切るのが遅かったらあさこパンチが撮れたのに、たけしの心中なんかすっかり忘れてハム田はオートフォーカスを呪います。

ついに勇気と男のプライドが底を尽きたたけし、最早発情のはの字も頭の中には残っておらず帰りたい気持ちが頂点に達したのかすがるようにハム田をみつめ壁に掻きつきます。

だめだめ、もうちょっとねばりなさい。あさこが疲れたトコロを見計らって犯っちゃうんだよ!

こんな事は人間の方の息子には口が裂けても言えません。言えないし、体型的に見てどう考えてもたけしより先にあさこがヘバる事は有り得ない。たけしが疲れきったあさこを思い通りにする、などといった構図は生理学的に不可能なのだ。たけしにとってはイヤガラセにも似た酷な要求でしかない。

かわいそうなたけしは、また滑車に向かっていくと滑車の横にいるあさこには目もくれず滑車を廻し始めました。全ての怒りを、悲しみを、不満を、パワーに変えて滑車を廻しているかのよう、には見えず、コインランドリーの乾燥機並みの勢いです。かなり、やっつけです。
さすがに、賢いあさこは廻っている滑車に近付いたりはしませんが、滑車が止まるとすかさず奪還に向かいます。

http://osoreiri.net/blog/0_0018.jpg何一つ思い通りにならないたけしは、とうとう固まってしまいました。彫像と化しました。モモンガみたいに広がってますが、あれは正真正銘ハムスターで、広がってる部分は皮ではなく恐らく脂肪です。だから、飛べません。


こうなってしまうともう限界を超えているので、たった二人のヤリコンはここでお開きとなります。


まあ、大体いつもこんなパターンです。ハム田一体いつになったらかわいいベイビーを拝む事ができるんでしょうか。可能性は1%でもあるんでしょうか。もういっそ、どっちかに別な伴侶を宛がった方がいいんでしょうか。その場合どちらに伴侶を宛がえばいいんでしょうか。優秀な遺伝子を残せそうでしかも一通り異性にモテそうなあさこに宛がうのが妥当か。しかしそれでは交尾をしたがっているたけしにとってあまりにも残酷ではないだろうか。かと言ってたけしにメスを宛がったトコロでメスのハムスターが1匹増える以外現在と状況は何も変わらないという哀しい可能性も大いに有り得る。嗚呼。


取り敢えず、日帰りできる範囲であさこを孕ませてくれそうなナイスハムガイを探してみる事にします。